2025.08.19
屋根瓦の価格:種類ごとの費用と総額をご紹介!!
はじめに

住宅の屋根は、住まいを守る重要な部分であり、その中でも屋根瓦は見た目の美しさだけでなく、耐久性や機能性を左右する要素です。
屋根瓦の交換や新設を検討する際、「一体どれくらいの費用がかかるのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、屋根瓦の種類ごとの価格相場や、工事にかかる総額、そして費用を抑えるためのポイントまで詳しく解説します。
瓦屋根を検討している方はぜひ参考にしてください。
屋根瓦の種類とそれぞれの価格相場

屋根瓦には、主に粘土瓦とセメント瓦・コンクリート瓦の2種類があり、それぞれ特性や価格が異なります。
粘土瓦
粘土を成形し、高温で焼き固めた伝統的な瓦です。
耐久性や遮音性に優れ、日本の気候風土に適しています。
非常に長持ちするのが特徴ですが、重さがあるため建物の耐震性への配慮も重要です。
釉薬瓦(陶器瓦)は、ガラス質の釉薬を塗ってから焼き上げた瓦です。
色や光沢のバリエーションが豊富で、色あせしにくいのが魅力です。耐水性にも優れており、耐用年数は50~60年以上と非常に長く、基本的に大きなメンテナンスは不要とされます。
1平方メートル(㎡)あたりの施工価格は、約7,000円から9,000円が目安です。
無釉薬瓦(いぶし瓦・素焼き瓦など)は、釉薬を使わずに焼き上げた瓦で、素材そのものの風合いが楽しめます。
いぶし瓦は焼き上げた後、いぶす(炭素を付着させる)ことで、黒から銀色の独特な色合いになります。
耐用年数は30~60年ほどですが、表面の炭素膜が剥がれると補修が必要になることがあります。1㎡あたりの施工価格は、約8,000円から12,000円が目安です。
素焼き瓦は粘土の色を活かした自然な赤みが特徴で、温かみのある風合いが人気です。
耐用年数は40~50年とされています。
1㎡あたりの施工価格は、約7,000円が目安です。
セメント瓦・コンクリート瓦
セメント、水、砂を主原料として作られた瓦で、製造後に塗装を施して色付けされます。
色やデザインの選択肢が多く、施工しやすいという利点があります。
しかし、粘土瓦に比べて耐久性が劣り、重さがあるため地震に対する考慮も必要です。
耐用年数は20~40年とされますが、10~20年ごとの定期的な塗装メンテナンスが推奨されます。
現在では製造量が減少傾向にあり、部分的な交換が難しいケースもあります。
1㎡あたりの施工価格は、約5,000円から10,000円が目安です。
モニエル瓦はセメント瓦の一種で、表面に「着色スラリー」という保護層を持つのが特徴です。
現在は廃盤ですが、既存の建物で目にすることがあります。塗装によるメンテナンスが必要です。
屋根瓦の形状とそれぞれの価格相場

屋根瓦は素材だけでなく、その形状によっても価格が異なります。
J形(和瓦)は日本の伝統的な瓦に多く見られる波打った形状です。
通気性や断熱性に優れており、和風建築によく用いられます。
1㎡あたりの施工価格は、約9,000円から12,500円が目安です。
F形(平板瓦)は凹凸が少ない平らなデザインで、現代的でシンプルな洋風住宅にマッチします。
現在の新築住宅で主流となる安価な粘土瓦でもあります。
1㎡あたりの施工価格は、約7,000円から16,000円が目安です。
S形(スパニッシュ瓦・洋瓦)は大きく波打った形状が特徴で、美しい陰影が生まれ、南欧風などの洋風建築に多く採用されます。
通気性と断熱性にも優れています。1㎡あたりの施工価格は、約5,000円から13,000円が目安です。
屋根瓦工事の総額を左右する要因
屋根瓦本体の価格は、全体の費用の一部に過ぎません。
工事の総額は、瓦の種類以外にも様々な要因によって変動します。
まず、瓦の素材と種類は総額に直結します。
前述の通り、選ぶ瓦の種類によって単価が大きく異なるため、長期的な視点でメンテナンス費用なども含めて検討することが重要です。
次に、屋根の面積と形状も費用に大きく影響します。
屋根の面積が広ければ広いほど使用する瓦の量が増え、費用も高くなります。
また、複雑な形状の屋根は、瓦の加工や施工に手間がかかるため、費用が上昇しがちです。
人件費(職人さんの費用)も総額に影響を与えます。
経験豊富な職人さんの人件費は、地域や業者によっても差があります。
屋根工事では、安全かつ効率的に作業を行うために足場を設置するのが一般的です。
足場は屋根の周囲を囲うように組まれ、その設置と解体にかかる費用も総額に含まれます。
既存の屋根材を新しい瓦に葺き替える場合、既存屋根材の撤去・処分費用も必要です。
古いセメント瓦などからアスベスト(石綿)が含まれる場合は、別途アスベスト撤去費用が発生することがあります。
瓦を葺く前の下地の状態によっては、下地補強費用も必要です。
野地板の補強や、防水シートの施工が必要になることがあります。
その他、瓦以外の釘や漆喰、棟部分に使用する役物瓦などの副資材費も考慮に入れる必要があります。
屋根瓦工事の費用を抑えるポイントと注意点

屋根瓦工事はまとまった費用がかかるため、できるだけ費用を抑えたいと考えるのは自然なことです。
以下のポイントを参考に、賢く工事を進めましょう。
まず、瓦の種類を慎重に選ぶことが重要です。
耐用年数が長くメンテナンスコストが低い粘土瓦は初期費用が高めですが、長期的に見ればコストパフォーマンスが良い場合があります。
一方で、初期費用を抑えたい場合は、平板瓦(F形瓦)のような比較的安価な粘土瓦も選択肢になります。
特にセメント瓦やモニエル瓦のように定期的な塗装が必要な瓦は、推奨される時期に定期的なメンテナンスを行うことで、瓦の劣化を防ぎ、大規模な修繕を未然に防ぐことが可能です。
問題が小さいうちに早期に対応することが、結果的に高額な出費を避けることにつながります。
地域によっては、屋根の耐震化や省エネ化、アスベスト撤去などに対して、国や地方自治体が補助金や助成金の制度を設けている場合があります。
これらの制度を積極的に活用することで、工事費用の一部をまかなうことができる可能性があるため、お住まいの自治体の窓口やウェブサイトで確認してみましょう。
小さな瓦のひび割れやズレを放置しておくと、雨漏りの原因となり、下地材や建物内部にまで損傷が広がる可能性があります。
そうなると、部分的な補修で済んだはずが、大規模な葺き替え工事が必要となり、費用が大きく膨らんでしまいます。
このような事態を避けるため、問題の早期発見・早期対応が非常に重要です。
定期的に屋根の状態を確認し、異変を感じたら専門業者に相談することが大切です。
まとめ
屋根瓦の価格は、瓦の種類や形状、そして工事内容によって大きく異なります。
長持ちする瓦は初期費用が高めでも長期的なコストを抑えられる可能性があり、短いスパンでのメンテナンスが必要な瓦はランニングコスト(維持費用)がかかることを理解しておくことが重要です。
ぜひこの記事を参考にして、瓦屋根を検討してください。



