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基礎知識

2025.08.11

誠賀建設が解説する「焼杉板の外壁」:その魅力、特徴、そして費用

はじめに

外壁材選びは、住まいの印象を大きく左右し、長期的な快適性やメンテナンスの負担にも関わります。

特に、自然素材の温もりと独特の風合いを持つ焼杉板(やきすぎいた)は、近年注目を集めている外壁材の一つです。

この記事では、焼杉板の外壁に焦点を当て、そのメリット・デメリット、種類、そして気になる費用について詳しく解説します。

焼杉板の外壁材を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

焼杉板の外壁とは?

焼杉板の外壁とは、杉板の表面を焼いて炭化させ、独特の風合いと耐久性を持たせた外壁材のことです。

この伝統的な技法は、日本の気候風土に適した先人の知恵が詰まっており、現代の住宅にも多く採用されています。

表面が炭化しているため、防火性や防虫性、耐候性が高まるのが特徴です。

焼杉板の主なメリット

焼杉板を外壁に採用することには、多くのメリットがあります。

まず、高い耐久性です。

杉板を焼くことで表面に炭化層が形成され、これにより木材の腐食や劣化を防ぎ、飛躍的に耐久性が向上します。

適切に施工された焼杉板は、30年以上の長期にわたりその美しさと性能を保つことが可能です。

次に、メンテナンスの手間が少ない点も大きな魅力です。

焼杉板は、一度施工してしまえば頻繁な塗り替えや補修がほとんど不要です。

炭化層が保護膜の役割を果たすため、一般的な外壁材と比較してメンテナンスの手間とコストを抑えることができます。

また、優れた断熱効果も期待できるメリットです。

焼杉板の炭化層には空気の層が含まれており、これが高い断熱効果を発揮します。

これにより夏の暑さや冬の寒さを和らげ、室内の温度を快適に保つ手助けとなります。

環境への配慮も忘れてはなりません。

杉は成長が早く、計画的な伐採と植林を行うことで持続可能な資源として活用できます。

焼杉板は自然素材であるため、環境負荷が低いエコフレンドリーな外壁材です。

さらに、焼杉板は時間とともに色合いが変化し、深みのある風合いを増していきます。

この「経年変化」は、無機質な素材にはない、自然素材ならではの魅力です。

初期投資の面では、他の耐久性の高い外壁材と比較して、焼杉板は比較的安価に手に入れることができる場合があります。

初期費用を抑えつつ、高い耐久性を求める場合に魅力的な選択肢です。

最後に、日本各地で生育する杉を使用できるため、地元の木材を使うことで、地域の林業活性化にも貢献できます。

焼杉板の主なデメリット

一方で、焼杉板にはいくつかのデメリットも存在します。

自然素材であるため、焼杉板一枚一枚で木目や炭化の具合、色合いに多少のばらつきが生じます。

これが焼杉板の個性として捉えられることもありますが、均一な仕上がりを求める場合には注意が必要です。

地域によっては、防火規制などにより木材の外壁材の使用が制限される場合があります。事前に建築基準法や条例を確認することが重要です。

また、自然素材である木材は、温度や湿度の変化によって収縮や膨張を繰り返すため、ごく稀に割れや反りなどの「変形」が生じることがあります。

さらに、炭化層は非常に安定していますが、強くこすったりすると炭が手や衣服に付着する可能性があります。

特に施工後すぐや、人通りの多い場所に面する壁面では注意が必要です。

 

焼杉板の種類

焼杉板の製造方法には、大きく分けて二つの種類があります。

伝統的な方法である三角焼きは、杉板を三枚組み合わせて三角形にし、内部で火を燃やして全体を均一に焼く方法です。

この方法では厚く均一な炭化層を形成でき、高い耐久性が期待できますが、広い作業スペースと熟練した技術が必要です。

もう一つは、比較的手軽に行えるバーナー焼きです。

ガスバーナーなどを用いて杉板の表面を直接焼きます。

手軽に作れる反面、炭化層の厚みや均一性は三角焼きに劣る場合があります。

どちらの製造方法を選ぶかは、求める耐久性やコスト、デザインによって異なります。

 

焼杉板の外壁にかかる費用とメンテナンス

焼杉板の外壁にかかる費用は、使用する焼杉板の種類、品質、施工面積、そして施工を依頼する業者によって大きく変動します。

具体的な費用は、見積もりを取って確認することが最も確実です。

一般的に、焼杉板の材料費は他の自然素材やサイディング材と比較してリーズナブルな傾向にありますが、施工には専門的な技術が必要となるため、施工費が加わります。

費用の内訳としては、焼杉板自体の価格である材料費、外壁材の張り付けや下地処理など工事にかかる施工費、安全確保のため必須となる足場費用、そして廃材処理費や運搬費などの諸経費が含まれます。

具体的な坪単価や平米単価は、建物の形状や窓の配置、開口部の多さなど、様々な要因で変動します。

そのため、一概の数字を提示することは困難です。複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を比較検討することをお勧めします。

焼杉板のメンテナンスについて

焼杉板のメンテナンスは、他の外壁材と比較して手間が格段に少ないのが特徴です。

完全に「不要」ではありませんが、頻繁な塗り替えや補修はほとんど必要ありません。

定期的な点検で、傷や浮き、割れなどがないか確認し、必要に応じて部分的な補修や張り替えを行うことで、より長く良い状態を保つことができます。

高圧洗浄などで汚れを落とすことも可能ですが、炭化層を傷つけないよう注意が必要です。

焼杉板は表面が炭化しているため、一般的な木材よりも着火しにくい特性を持っています。

表面の炭化層は、炎が直接木材本体に達するのを遅らせる効果があります。

ただし、あくまで「燃えにくい」という特性であり、不燃材料ではありません。

建築基準法に則った適切な防火対策が重要です。

また、焼杉板は経年とともに炭の色が落ち着き、シルバーグレーのような色合いに変化していきます。

これは「色落ち」というよりも、自然素材ならではの「経年変化」として楽しまれるものです。

この変化が、焼杉板の持つ独特の美しさを引き立てます。

 

まとめ

焼杉板の外壁は、その独特の風合いと高い耐久性、メンテナンスの手軽さから、多くの住宅で選ばれています。

自然素材ならではの温もりと、時が経つごとに深まる美しさは、住まいに個性と品格を与えます。

費用については、様々な要素によって変動するため、詳細な見積もりを確認することが大切です。

ぜひこの記事を参考にして、焼杉板の外壁を実現してください。