2025.06.12
住宅の空気環境を整える「24時間換気システム」のリフォーム費用と基礎知識
はじめに
健康で快適な住まいづくりにおいて、室内の空気環境は非常に重要な要素です。
近年、建築基準法の改正により、すべての住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられています。
このシステムは、室内の空気を常に新鮮に保ち、シックハウス症候群の対策や結露・カビの抑制に貢献するものです。
しかし、既存住宅のリフォームを検討する際や、現在お住まいの24時間換気システムの不具合に直面した際、「リフォーム費用はどのくらいかかるのか」「どのような種類があるのか」といった疑問を抱く方も少なくないでしょう。
ここでは、24時間換気システムの基礎知識からリフォームにかかる費用、そして種類ごとの特徴やメンテナンスについて詳しく解説していきます。
換気システムのリフォームを検討している方はぜひ参考にしてください。
24時間換気システムの種類と特徴
24時間換気システムとは、機械を使って強制的に室内の空気を入れ替え、常に新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出する仕組みのことです。
これは2003年に建築基準法で設置が義務化されました。
その背景には、住宅の高気密化・高断熱化が進んだことで、自然換気だけでは十分な空気の入れ替えが難しくなった点があります。
高気密な住宅は冷暖房効率が良いというメリットがある一方で、建材から発生する化学物質によるシックハウス症候群や、生活の中で発生する湿気による結露・カビの問題が生じやすくなります。
24時間換気システムは、これらの問題を解決し、住む人の健康と建物の耐久性を守るために不可欠な設備として位置づけられています。
24時間換気システムには、主に第一種換気方式、第二種換気方式、第三種換気方式の3つの換気方式が存在します。
それぞれの方式には利点と欠点があり、費用や設置場所、住宅の特性によって最適な選択肢が異なります。
第一種換気方式(機械給気・機械排気)
第一種換気方式は、給気と排気の両方を機械で行うシステムです。
最も計画的な換気が可能で、室内の空気の流れを高い精度でコントロールできます。
熱交換器を組み込むことで、換気による室温の変化を最小限に抑え、冷暖房効率を維持できる点が大きな特長です。
これにより、冬の寒さや夏の暑さを感じにくく、快適な室内環境を保てます。
この方式の利点としては、換気による室温変化が少ないため冷暖房効率を保ちやすいこと、計画換気がしやすく住宅全体の空気を均一に循環できること、そして高性能フィルターを設置することで花粉やPM2.5などの外部からの汚染物質の侵入を抑えられることが挙げられます。
一方で、欠点としては、設置費用が他の方式と比較して高くなる傾向があること、給排気両方に機械を使用するため消費電力や電気代がやや高めになること、ダクトの清掃などメンテナンスの手間や費用がかかる場合があることなどが挙げられます。
費用目安は50万円~70万円程度(本体費用+工事費)です。
第二種換気方式(機械給気・自然排気)
第二種換気方式は、機械で給気を行い、排気は自然に行うシステムです。
室内に常に新鮮な空気を送り込むことで、室内の気圧が外部よりも高くなる「正圧」の状態を作り出します。
これにより、外部の汚れた空気が隙間から侵入しにくくなるため、クリーンルームや病院の手術室など、特に高い清浄度を求められる場所で採用されることが多い方式で、一般住宅での導入は稀です。
この方式の利点は、外部からの汚れた空気が侵入しにくい構造であること、そしてクリーンな室内環境を維持するのに適していることです。
欠点としては、排気が自然任せになるため湿気が室内にこもりやすく、結露が発生しやすいこと、一般住宅にはあまり適していないことなどが挙げられます。
一般住宅でのリフォーム事例が少ないため一概には言えませんが、特殊な用途のため費用は高くなる可能性があります。
第三種換気方式(自然給気・機械排気)
第三種換気方式は、排気を機械で行い、給気は自然に行うシステムです。
排気ファンによって室内の空気を強制的に排出することで、室内が「負圧」の状態になり、給気口から自然に外気が取り込まれます。
シンプルな構造で設置費用を抑えられるため、日本の一般住宅で広く採用されている方式です。
この方式の利点は、設置費用が比較的安価であること、構造がシンプルなためメンテナンスも比較的容易であること、そして湿気を効果的に排出するため結露やカビの発生を抑制しやすいことです。
一方で、欠点としては、外気が直接取り込まれるため冬は冷たい空気が、夏は暑い空気が室内に入り込み、室温が外気の影響を受けやすいこと、給気口にフィルターがない場合花粉や粉塵が侵入する可能性があることなどが挙げられます。
費用目安は20万円~40万円程度(本体費用+工事費)です。
24時間換気システムのメンテナンスと電気代
24時間換気システムを適切に機能させるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特に、給気口のフィルターは外部からの汚染物質の侵入を防ぐ役割を担っているため、定期的な清掃や交換が求められます。
フィルターが目詰まりすると換気効率が低下し、本来の性能が発揮されなくなるだけでなく、電気代の増加や故障の原因にもなりかねません。
多くのシステムでは、給気口のフィルターは月に一度程度の清掃が推奨され、半年に一度から一年に一度程度の交換が目安です。
排気口も汚れが溜まりやすいため、定期的な清掃が望ましいでしょう。
ダクト式のシステムでは、ダクト内部の清掃も必要となる場合がありますが、これは専門業者に依頼することが一般的です。
「24時間稼働させると電気代がかかるのではないか」と心配される方もいますが、最新の24時間換気システムは省エネ性能が高く、1ヶ月あたりの電気代は数百円程度と非常に経済的です。
システムを停止してしまうと、シックハウス症候群や結露・カビの発生リスクが高まり、健康や住宅の劣化につながる可能性もあります。
そのため、基本的に24時間稼働させ続けることが推奨されます。
頻繁にオンオフを繰り返すよりも、常時運転の方が電力負荷も少なく、結果的に電気代を抑えられる場合もあります。
まとめ
24時間換気システムは、現代の住宅における快適性、そして何よりも健康を維持するために欠かせない設備です。
リフォームを検討する際や、既存システムのメンテナンスを行う際には、今回解説した費用相場や種類ごとの特徴、そして適切なメンテナンス方法を参考にしてください。
誠賀建設では、お客様の住まいの状況やご要望に応じた最適な24時間換気システムのリフォームプランをご提案しています。住宅のプロフェッショナルとして、快適で安心できる暮らしをサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。