2025.08.3
フローリング上張り(重ね張り)の費用と知っておくべきこと
はじめに

住宅の床材として広く用いられているフローリングは、年月の経過とともに傷や色褪せ、きしみといった劣化が生じることがあります。
床のリフォームを考える際、フローリングの「上張り」、あるいは「重ね張り」という工法が注目されています。
これは、既存のフローリングを撤去せずにその上から新しいフローリング材を重ねて張る方法です。
手間や費用を抑えられる可能性がある一方で、知っておくべき注意点も存在します。
この記事では、フローリングの上張りにかかる費用の相場、メリット・デメリット、そして施工を検討する際に留意すべき点について詳しく解説します。
フローリングの上張りを検討している方はぜひ参考にしてください。
フローリング上張り(重ね張り)とは
フローリング上張りとは、既存の床材を剥がさずに、その上に新しいフローリング材を重ねて施工するリフォーム方法です。
これに対し、既存の床材をすべて剥がしてから新しい床材を張る方法を「張り替え(はりかえ)」と呼びます。
上張りは、リフォームの選択肢として費用や工期の面で魅力的な選択肢となります。
フローリングの上張りの費用は、選択するフローリング材の種類によって大きく変動します。
ここでは一般的な広さである6畳の部屋を例に、おおよその費用相場をご紹介します。
使用するフローリング材の種類によって費用は変わり、合板などの基材の表面に天然木や化粧シートを貼り付けたフローリング材である複合フローリングの重ね張りであれば約8万円から14万円が目安です。
このフローリング材は耐水性や耐久性に優れ種類も豊富であるというメリットがあります。
一方、天然木を一枚板で使用したフローリング材である無垢フローリングを選ぶと、約12万円から20万円程度かかる傾向があります。
このフローリングは調湿作用や温もりのある質感が特徴です。
フローリング以外では、クッションフロアの重ね張りは約6万円から8万円、フロアタイルの重ね張りは約8万円から10万円が相場です。
また、カーペットを重ね張りする場合も約7万円から9万円となります。
これらの費用はあくまで目安であり、既存の床の状態、業者ごとの料金体系、地域、使用する材料のグレードなどによって変動します。
正確な費用を知るためには、専門業者に見積もりを依頼することが重要です。
フローリング上張り(重ね張り)のメリット

フローリングの上張りには、既存の床を剥がす「張り替え」にはない多くのメリットがあります。
まず、費用を抑えられる点です。
既存のフローリングを撤去する手間や、剥がした廃材の処分費用が発生しないため、トータルコストを抑えられます。
これは上張りの最大の魅力の一つです。
次に、工期が短いことも大きな利点です。
解体作業が不要な分、工事期間が短縮されます。
6畳程度の部屋であれば、1日もかからずに工事が完了することもあり、工事中の生活への影響を最小限に抑えられます。
また、解体工事が不要なため騒音が少なく、近隣に配慮した工事が可能です。大きな音が出にくいので、マンションなどの集合住宅でも比較的安心してリフォームが可能です。
さらに、床の強度向上と防音効果も期待できます。
既存の床の上に新しいフローリング材を重ねることで、床全体の厚みが増し、強度が高まり、これにより、床のたわみやきしみが改善されることがあります。
床が二重になることで、下階への生活音の響きを軽減する防音効果も期待できるでしょう。
既存の床に床暖房が設置されている場合でも、床暖房対応の重ね張り用フローリング材を選べば、そのまま床暖房を使用し続けられるため、快適な住環境を維持しながらリフォームが可能です。
フローリング上張り(重ね張り)のデメリットと注意点

費用や工期で優位性のある上張りですが、いくつかのデメリットと注意点も存在します。
これらを理解しておくことで、後悔のないリフォーム計画を立てられます。
一番の注意点は、床の高さが変わることです。
新しいフローリング材の厚みの分だけ床全体の高さが上がります。
これにより、隣接する部屋の敷居やドア枠との間に段差が生じ、つまずきやすくなる可能性があります。
また、ドアの下部が新しい床に干渉し、開閉しにくくなることもあり、この場合、ドアの下部をカットするなどの調整が必要になるでしょう。
さらに、造り付けのクローゼットの扉や、キッチンの高さとのバランスが変わってしまうことも考えられます。
これらの段差対策としては、重ね張り用に設計された薄いフローリング材の採用が有効です。
あるいは、敷居との間に見切り材を設置して緩やかな傾斜を作る、既存フローリングを部分的に削り出して段差を解消するといった方法があります。
次に、下地の状態が確認できないというデメリットがあります。
上張り工法では既存のフローリングを剥がさないため、その下地部分の状態を直接確認できません。
もし既存の床のきしみや沈みが激しい場合、下地の腐食やシロアリの被害が原因である可能性も考えられます。
下地に問題がある状態で上張りを行うと、せっかくリフォームしてもすぐに不具合が再発したり、最悪の場合、床が抜け落ちるといった重大な問題につながる恐れもあります。
既存のフローリングを張ってから10年以上経過している場合や、床のきしみや沈みが気になる場合は、専門家による下地の詳細な点検を依頼することがおすすめです。
また、上張り工法は適用範囲に制限があります。
基本的に既存のフローリングの上に新たなフローリングを重ねる場合に適用され、カーペットやクッションフロアなど、フローリング以外の床材の上にフローリングを張ることは難しい場合が多いです。
既存のフローリングが激しく劣化している場合や、複数回の上張りが既にされている場合なども、上張りが適さないケースがあります。
まとめ
フローリングの上張りは、費用や工期を抑えながら住まいの印象を一新できる魅力的なリフォーム方法です。
しかし、床の高さの変化や下地の状態確認の難しさといったデメリットも理解しておくことが重要です。
ぜひこの記事を参考にして、床の上張りリフォームを検討してみてください。



