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基礎知識

2025.05.10

屋根の漆喰(しっくい)補修・工事の単価と知っておきたいこと

はじめに

瓦屋根に使われる「漆喰(しっくい)」は、単に瓦を固定するだけでなく、大切な住まいを雨水の浸入から守るという非常に重要な役割を担う素材です。

この漆喰も時間と共に必ず劣化が進むため、建物を健全な状態に保つためには定期的なメンテナンスが欠かせません。

ここでは、屋根の漆喰補修や工事にかかる単価や費用相場に加え、工事を検討する際に知っておきたい情報について、詳しくご紹介していきます。

屋根の漆喰の補修を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

屋根の漆喰(しっくい)とは?その役割と重要性

屋根の漆喰は、主に日本の伝統的な瓦屋根において、棟瓦(むねがわら)と呼ばれる部分に用いられます。

棟瓦とは、屋根の面と面が合わさる頂上部分や、降り棟(くだりむね:屋根の傾斜に沿って下がる棟)にある、何枚もの瓦を積み上げて作られた箇所のことを指します。

この棟瓦を固定し、その下に雨水が浸入するのを防ぐために、瓦と瓦の隙間や土台部分に漆喰が塗布されるのが一般的です。

漆喰の主な役割はいくつかあります。

一つ目は、地震や強風などによって棟瓦がズレたり崩れたりするのを防ぎ、屋根全体の構造を安定させることです。

漆喰が劣化すると、棟瓦の固定力が失われ、瓦が落下する危険性も生じます。

もう一つは、雨水が瓦の内部や建物の構造部分に浸入するのを防ぐ防水機能です。

漆喰にひび割れや剥がれが生じると、そこから雨水が入り込み、下地の木材を腐食させたり、最終的には雨漏りを引き起こしたりする原因となります。

これに加え、丁寧に施工された漆喰は、屋根全体の見た目を引き締め、美観を保つ上でも重要な要素となります。

このように、屋根の漆喰は住まいの安全と耐久性を維持するために欠かせない、非常に重要な部分と言えるでしょう。

 

屋根の漆喰補修が必要なサインとそのリスク

屋根の漆喰は、太陽からの強い紫外線や、雨、風といった厳しい自然環境に常にさらされています。

そのため、時間の経過と共に劣化が進むのは避けられません。

具体的には、以下のような症状が見られたら、漆喰の補修や工事を検討する重要なサインとなります。

これらの劣化を放置すると、単に見た目が悪くなるだけでなく、様々なリスクが発生します。

漆喰の固定力が失われれば、台風などの強風で瓦が飛ばされたり、地震で棟瓦全体が崩れたりする原因となり、非常に危険です。

また、漆喰の防水機能が失われることで、雨水が屋根の下地に浸入しやすくなり、木材の腐食やカビの発生を招きます。

これが進行すると、構造材が傷んで建物の耐久性が低下したり、室内にまで雨漏りが発生したりする深刻な状況につながるのです。

劣化を早期に発見して適切な補修を行うことが、これらのリスクを防ぎ建物を長く安全に使い続けるために非常に重要になります。

ひび割れ

漆喰の表面に細かな亀裂が入る初期症状です。

ここから雨水が少しずつ浸入し始める可能性があります。

剥がれ

漆喰が瓦から浮いてきたり、部分的に剥がれ落ちたりしている状態です。

固定力や防水性が低下している明確なサインと言えます。

崩れ

漆喰がボロボロと砕けて、粉状になったり塊で落下したりしている状態です。

漆喰としての機能がほとんど失われている危険な状態で、棟瓦の崩落や大規模な雨漏りにつながる可能性が非常に高いです。

 

屋根の漆喰補修・工事の単価と費用相場

屋根の漆喰補修や工事にかかる費用は、漆喰の劣化の状況や、どのような範囲で、どのような工事を行うかによって大きく異なります。

正確な費用を知るためには専門業者による診断が必要ですが、一般的な単価や費用相場を事前に把握しておくと、業者からの見積もり内容を理解し、比較検討する上で役立つでしょう。

比較的小規模な劣化の場合に行われる、劣化した漆喰を新しく詰め直す「詰め直し」と呼ばれる部分的な補修があります。

この場合の費用は、補修を行う長さによって計算されることが多く、1mあたり3000〜4500円程度が目安とされるケースが多く見られます。

これは、既存の劣化漆喰を取り除き、清掃した上で新しい漆喰を充填する比較的簡単な作業にかかる費用です。

しかし、漆喰全体の劣化が激しい場合や、漆喰だけでなく棟瓦そのものにズレや歪み、土台の劣化などが見られる場合は、「棟瓦取り直し工事」が必要となることがあります。

この工事は一度棟瓦をすべて解体し、その下にある土なども含めて撤去・清掃し、新しい土台で棟を積み直し、再度漆喰を施工するという、より大規模な工事です。

この場合、工事の範囲や屋根の形状、使用する材料の種類などによって費用は大きく変わり、数十万円から100万円を超えるケースも珍しくありません。

工事費用に影響を与える要因はいくつか挙げられます。

まず漆喰がどれくらいの範囲で、どの程度劣化しているかによって、部分補修で済むのか、全体的な工事が必要になるかが変わり、それが直接費用に影響が出ます。

また屋根の形状が複雑であったり、勾配が急であったりすると、作業の難易度が上がり、作業時間もかかるため、費用が増減することもあるでしょう。

屋根の高さがある建物の場合、作業員が安全に作業するための足場の設置が必要になり、その設置・解体費用が別途加算されることも一般的です。

使用する漆喰の種類によっても性能や価格が異なる場合や、依頼する業者によっても採用している工法や見積もり内容、提示される金額には違いが生じる点も考慮が必要です。

 

まとめ

屋根の漆喰は、瓦屋根の防水機能と耐久性を維持するために欠かせない重要な役割を担っています。

ひび割れや剥がれといった劣化のサインが見られた場合は、雨漏りなどの大きな問題に発展する前に、できるだけ早く専門業者に相談することが、建物を健全な状態に保つ上で非常に重要になります。

ぜひこの記事を参考にして、屋根の漆喰のトラブルを解決し、快適なお住まいを実現してください。